はい、おやびんです。
今の磁石を取り扱った会社に勤めるまでは、色々と職を転々としていた私ですが、その中でも1番思い出深い仕事は何かと言うと。
移動販売の基本。
トラック販売での石焼き芋。
冬の寒い日になると、どこからともなく聞こえてくる。あのフレーズ「石焼き〜芋、石焼き〜芋おいしいよ」
その石焼き芋ですが、みんな気ままに流して売ってると思ってるでしょ?
実はマーケティングが本当に必要なの石焼き芋屋なんですよ。
経験に基づいて言うのならば、秋の終わりごろに都の中心部分から売れ始め、春先には地方のスキー場なんかに売りに行くことが多いのです。
私がやってたときにはカーナビなんてなかったので、スーパーマップルって言うと細かい地図が利用していました。
そこには何時何分にこの住宅街に何本売れたか、って書き込んでいるんです。
それ以外にも、ライバルの焼き芋屋に道端で出会うと、出会った場所と時間を書き込みます。
出会った場所と時間をもとに、どの住宅街を回ったかと言うのを推理して、自分の回るコースを決めるのです。
当然ライバルが回った後の住宅街では、売り上げが立つことはできませんので、これは死活問題です。
それにライバルがよく回っている場所は、よく売れてる場所だと言うことなので、ライバルより先にその場所に入ったら売れるのです。
もちろん時間も重要です。
お昼前や昼過ぎの3時などは買ってもらう率が非常に高いです。
つまりまとめると、売れる場所に売れる時間に、誰よりも早く回ることで、大きな売り上げを立てることができるのです。
リサーチだけでなく、営業も大事なんですよ。
基本的にはより多くのお客さんに買って欲しいのですが、常連客にはいろいろ話をしたいがる人もいます。
ちょっとした会話が次の購入につながるので、気を抜くことはできません。
話し好きのおばちゃんに捕まると5分10分30分と引き止められることもあります。
話を聞き出す、カウンセリング能力も大切ですが、話を終わらせて次に向かうための司会者的な能力も必要になります。
まぁ、この仕事をやってる時もいろいろありましたよ。
ヤクザに絡まれて所場代払えと言われたこともあったり、近鉄の踏切で、人身事故の現場を目撃して証人になったりかなり刺激的な毎日でした。
1番やって面白かったのは、仮面ライダーのショッカーの格好して、焼き芋を売ったことです。
冬のスキー場の近くでやったんですけど、その時は著作権等は考えずに古いことだけ考えてましたから、昭和だったんですよね。
過去の黒歴史の1つです。
当然ですがショッカーの格好してるので、面白がって声をかけてくるお兄ちゃんやお姉ちゃんが多かったです。
「ショッカー仮面ライダーと戦ったことあるの?」
「私は後方部隊だから交通整理しとったよ」
「どうして、ショッカーがここにいてるかの?」
「ショッカーリストラされて、再出発やねん」
「ショッカーバク転して」
「そういうのできなかったから、リストラされてんて、空気読んでよ」
そう話すとゲラゲラ笑って焼き芋を買ってくれるのです。
なんて雑談しながら焼き芋を売っていました。
お客との掛け合いが面白かったですね。
ですが、それも春先までの話、初夏になれば売るものも変わってしまい、販売方法も変わるのです。ですが、それはまた今度の話。
また読んでくださいね。
ありがとうございました。